
「このレーヨン100%のブラウス、デザインは気に入っているけど洗濯が面倒…」「エマールを使えば家で洗えるって聞いたけど、本当に縮まないか不安…」そう感じて、お気に入りのレーヨン素材の服をクローゼットにしまったままにしていませんか?レーヨンは、シルクのような美しい光沢と、とろみのある滑らかな肌触りが最大の魅力です。しかしその反面、水に非常に弱いデリケートな素材であるため、「洗濯したら子供服みたいに縮んでしまった」「シワだらけで元に戻らない」といった失敗談が後を絶たないのも事実です。
ですが、安心してください。レーヨンの特性と正しい洗濯の手順さえ理解すれば、自宅でのケアは決して難しいものではありません。この記事では、レーヨン100%の衣類をおしゃれ着洗剤の代表格であるエマールで洗濯する具体的な方法を、初心者の方にも分かりやすく、かつ深く掘り下げて解説します。多くの人が悩む縮んだ際の対処法はもちろん、頑固なシワを作らない干し方や、生地を傷めないアイロンの適切な温度まで、一連の流れを網羅的にご紹介。
洗濯機を使う際の注意点や、わずか数十秒で仕上がりが変わる脱水方法、意外と知らない洗濯表示の正しい見方、さらにはエマール以外の洗剤が使えるのかという素朴な疑問にも、プロの目線でお答えします。この記事を最後まで読めば、もう洗濯のたびにクリーニング店へ駆け込む必要はなくなります。大切な一着を、あなた自身の手で、長く美しく保つための知識と自信が手に入るはずです。
- レーヨンが水分で縮んでしまう科学的な理由と、新旧の洗濯表示の見方
- エマールの性能を最大限に引き出す使い方と、手洗い・洗濯機洗いの具体的な手順
- 縮みとシワを徹底的に防ぐ脱水・干し方・アイロンがけのプロのコツ
- 万が一、洗濯で縮んでしまった場合に試せる、家庭でできる復活方法
レーヨン100%をエマールで洗濯する基本

- 失敗を防ぐエマールの正しい使い方
- 型崩れしないレーヨンの手洗い完全ガイド
- レーヨンを洗濯機で洗う場合の注意点
- シワを防ぐ脱水のコツは「30秒以内」
失敗を防ぐエマールの正しい使い方
レーヨン100%の洗濯には、洗浄力が穏やかな中性のおしゃれ着洗剤が必須です。私たちが普段、肌着やタオルなどに使っている粉末洗剤や液体洗剤の多くは「弱アルカリ性」です。弱アルカリ性の洗剤は、皮脂や油汚れに対する洗浄力が高い反面、レーヨンのようなデリケートな動物性・植物性由来の繊維には作用が強く、生地の風合いを損ねたり、色落ちを促進させたりする原因になりかねません。
その点、花王の「エマール」は、繊維に優しい中性洗剤であり、洗浄成分が穏やかに作用するため、レーヨンが持つ本来の光沢や滑らかさを守りながら汚れを落とすのに非常に適しています。ただし、その効果を最大限に引き出すには、正しい使用量を守ることが何よりも大切です。
洗剤の過剰投入は百害あって一利なし
「汚れがひどいから」「念のため」といった理由で洗剤を規定量より多く入れるのは、絶対にやめましょう。洗剤が多すぎると、すすぎの工程で洗剤成分を完全に洗い流すことができず、繊維の内部に残ってしまいます。この残留成分が、乾いた後のゴワつきや肌触りの悪化、さらには空気中の汚れを吸着して発生する黄ばみの原因となるのです。逆に少なすぎても洗浄力が不足し、汚れが十分に落ちません。必ず製品の裏面に記載されている使用量の目安(水の量に対して何mlか)を計量カップで正確に測って使用してください。
筆者のワンポイント
私の場合、特に汚れが気になるシャツの襟元や袖口には、洗濯機や洗面器に入れる前にエマールの原液を少量、指で直接なじませておく「前処理(直づけ)」を実践しています。こうすることで、衣類全体への負担は最小限に抑えつつ、気になる部分汚れだけを効果的に狙い撃ちできます。5分ほど置いてから全体を洗うと、驚くほどきれいに仕上がりますよ。
ちなみに、エマールには洗浄力だけでなく、「カタチコントロール洗浄」技術が採用されており、繊維のダメージを防ぎながら洗うことで、伸びやヨレを整え、シワの発生を抑制する効果も期待できるとされています。デリケートなレーヨンにとって、これほど心強い味方はないでしょう。(参照:花王株式会社 エマール公式サイト)
型崩れしないレーヨンの手洗い完全ガイド

洗濯表示で「手洗い」が推奨されている場合や、レースや装飾がついた特に大切な衣類の場合は、これから紹介する手順で丁寧に手洗いを行いましょう。時間はかかりますが、生地への負担を最小限に抑えられる、最も安全で確実な方法です。
※あくまでも自己責任でお願いいたします。
準備するもの
- 洗面器や洗濯おけ(衣類がゆったり浸かるサイズ)
- おしゃれ着洗剤(エマール)
- 洗濯ネット(たたんだ衣類がぴったり収まるサイズ)
- 吸水性の良い清潔なバスタオル
手洗いの詳細な手順
- 洗剤液の準備
まず、洗面器に30℃以下のぬるま湯、もしくは水を張ります。熱いお湯は縮みを引き起こす最大の原因ですので、指を入れて「冷たい」と感じるくらいの水温が最適です。そこに規定量のエマールを入れ、手のひらで軽くかき混ぜて均一な洗剤液を作ります。洗剤が完全に溶けきってから衣類を入れるのがポイントです。 - 優しく沈めて、押し洗い
衣類をボタンやファスナーを閉じた状態で裏返し、きれいにたたみ、型崩れ防止のために洗濯ネットに入れます。そして、洗剤液の中にゆっくりと沈め、手のひら全体を使って「沈める」「持ち上げる」を繰り返す「押し洗い」を20~30回行います。このとき、「もむ」「こする」「ねじる」といった動作は、繊維を傷つけ、毛羽立ちや型崩れの直接的な原因になるため絶対に避けてください。あくまで「優しく押す」だけです。 - 丁寧なすすぎ
洗剤液を静かに捨て、洗面器に新しい水を張ります。押し洗いと同じ要領で、優しく押しながらすすぎます。水が濁らなくなり、泡が出なくなるまで、水を2~3回入れ替えてこの作業を繰り返します。すすぎが不十分だと洗剤残りの原因になるため、丁寧に行いましょう。柔軟剤を使用する場合は、この最後のすすぎ水に規定量を溶かし、衣類全体に2~3分浸透させてから次の工程に移ります。 - 究極に優しい脱水
すすぎが終わったら、洗濯機を使い、ごく短時間だけ脱水します。これが最もシワを防ぎ、かつ生地を傷めない重要なポイントです。詳細は次の見出しで詳しく解説しますが、洗濯機が使えない場合は「タオルドライ」を行います。濡れた衣類を洗濯ネットに入れたまま、乾いたバスタオルの間に挟み、上から優しく押さえて水分をタオルに移し取ります。雑巾のように絞る行為は、レーヨンにとって致命的です。
レーヨンを洗濯機で洗う場合の注意点
洗濯表示で「洗濯機洗い可」となっている場合は、洗濯機の手洗いコースやドライコース(メーカーにより「おうちクリーニング」「おしゃれ着」など名称は異なる)を利用できます。手洗いよりも格段に手軽ですが、いくつかの重要なポイントを守らないと、手洗い以上に大きな失敗につながる可能性があるため、細心の注意が必要です。
洗濯機でレーヨンを洗う際の4つの鉄則
- 衣類に合ったサイズの洗濯ネットは必須
レーヨンは摩擦に非常に弱いため、他の衣類との絡まりを防ぎ、生地へのダメージを最小限に抑えるために、洗濯ネットの使用は絶対条件です。衣類を軽くたたんだときにぴったり収まるサイズを選びましょう。ネットが大きすぎると、中で衣類が動いてしまい、結局は摩擦が起きて効果が半減してしまいます。 - 必ず「手洗い/ドライ/おしゃれ着コース」を選択
これらのコースは、洗濯槽の回転を最小限に抑え、非常に優しい水流で洗いからすすぎまでを行うようにプログラムされています。通常の標準コースで洗うと、強い遠心力と水流で一瞬にして縮みや型崩れが発生する可能性が高いです。 - 単独洗い、もしくはデリケートな衣類とのみ洗う
色移りを防ぐため、また、ジーンズやタオルのような硬い生地との摩擦を避けるためにも、できるだけ単独で洗うのが理想的です。もし他の衣類と一緒に洗う場合は、シルクやキュプラなど、同じようにデリケートな素材で、かつ色の近いものだけに限定しましょう。 - 水量は「多め」に設定する
洗濯物に対して水量を多めに設定することで、衣類が水中でゆったりと泳ぐ状態になり、衣類同士の摩擦をさらに軽減できます。最近の洗濯機は節水性能が高く自動で水量が設定されがちですが、手動で水量を増やせる場合はぜひ試してみてください。
私であれば、たとえ洗濯機OKの表示があっても、奮発して購入したお気に入りのワンピースや、繊細なデザインのブラウスは、やはり手洗いを選択します。しかし、日常的に着用するカットソーなどであれば、これらの鉄則を厳守することで、洗濯機でも十分に美しく仕上げることが可能です。
シワを防ぐ脱水のコツは「30秒以内」
レーヨン洗濯の工程において、仕上がりの美しさを左右する最も重要な分岐点が「脱水」です。手洗い、洗濯機洗いのどちらのケースでも、この脱水工程を誤ると、アイロンでも伸ばすのが困難な、深く刻まれたシワができてしまいます。
結論から言うと、脱水時間は、洗濯機で設定できる最も短い時間、具体的には30秒~長くても1分以内に設定してください。多くの洗濯機では「1分」が最短設定ですが、もし可能であれば30秒ほどで手動で停止し、取り出すのが理想的です。濡れて水分を含んだレーヨン繊維は非常に柔らかく、強い遠心力が長時間かかると、その圧力で繊維が押しつぶされ、シワとして形状記憶されてしまうのです。
脱水後の「すぐ取り出す」は鉄の掟!
脱水が完了したら、1秒でも早く洗濯機から取り出してください。湿ったままの状態で洗濯槽の中に放置することは、自らシワを育てているようなものです。脱水後の衣類は、他の洗濯物や洗濯槽の壁に押し付けられた状態で、その形のままどんどんシワが深くなっていきます。洗濯が終わるタイミングを見計らい、干すためのハンガーなどを用意して、すぐに干す作業に移れるようにスタンバイしておきましょう。
脱水が終わった直後の衣類は、「まだ水分がかなり残っているな」と感じるくらいがベストな状態です。この衣類自身の重み(水分)が、干した際に重力となって働き、生地を下に引っ張って自然にシワを伸ばしてくれる、天然のシワ伸ばし剤の役割を果たしてくれます。
レーヨン100%をエマールで洗濯した後のケア

- 縮ませないレーヨンの干し方
- テカリを防ぐレーヨンのアイロン温度
- もし縮んだら?レーヨン洗濯の対処法
- エマール以外の洗剤は代用できる?
- レーヨン100%をエマールで洗濯する際の総まとめ
縮ませないレーヨンの干し方
完璧な脱水が終わったら、最後の仕上げ工程である「干し方」に移ります。ここでもいくつかの重要なポイントがあり、正しく干すことで縮みを最小限に抑え、残った細かなシワをきれいに伸ばすことができます。
干す前の「魔法のひと手間」
まず、脱水が終わった衣類を両手で持ち、バサッ、バサッと2~3回大きく振りさばいて、全体の大きなシワを飛ばします。その後、机などの平らな場所に置き、肩線や脇の縫い目を丁寧に合わせ、両手で挟むようにして「パン、パン」と優しく叩きながら全体の形を整えましょう。特に襟元、袖口、前立てなどの部分は念入りに行います。このわずか1分のひと手間が、乾いた後のアイロンがけを格段に楽にしてくれます。
干し方の基本ルール
- 必ず「日陰」で「風通しの良い場所」に干す
前述の通り、レーヨンは紫外線に非常に弱く、直射日光に当たると短時間で色褪せや黄変、繊維の劣化を引き起こします。必ず、ベランダの影になる部分や、室内でも空気の流れがある場所に干してください。浴室乾燥機がある場合は、送風モードで乾かすのも非常に有効です。 - 衣類の種類によって干し方を変える
ブラウスやシャツ類: 肩のラインに厚みがあり、滑りにくい加工がされたハンガー(木製や起毛タイプがおすすめ)にかけて干します。ワイヤーハンガーのような細いハンガーは、濡れた衣類の重みで肩の部分に不自然な跡がついてしまうため絶対に避けましょう。ボタンは2~3個留めておくと型崩れを防げます。
Tシャツやニット類: 水の重みで首回りや着丈が伸びやすいため、「平干しネット」を使用して寝かせた状態で干すのが理想的です。もし平干しネットがない場合は、太めのハンガーを2本使い、胴体部分をM字のように渡して干すと、重さを分散させることができます。 - 乾燥機の使用は絶対にNG
繰り返しになりますが、タンブラー乾燥機の使用はレーヨンにとって最も過酷な環境です。高温の熱風と回転による摩擦で、衣類は一気に縮み、硬化してしまいます。一度この状態になると元に戻すことはほぼ不可能です。「乾燥機 절대禁止」と覚えておいてください。
テカリを防ぐレーヨンのアイロン温度

丁寧に干して乾いたら、いよいよ最終仕上げのアイロンがけです。レーヨンは熱にも弱いため、適切な温度設定と「あて布」の使用が、美しい仕上がりを実現するための絶対条件となります。
まず、アイロンをかける前に、再度、衣類の洗濯表示を確認してください。アイロンのマークの中に描かれた「・」の数で、かけるべき適切な温度の上限が示されています。
アイロン温度の目安

- 「・」が1つ(低温):底面温度120℃まで(レーヨン、アクリル、ポリウレタンなど)
- 「・・」が2つ(中温):底面温度160℃まで(ポリエステル、ウール、シルクなど)
- 「・・・」が3つ(高温):底面温度210℃まで(綿、麻など)
レーヨンの場合は、ほとんどが「低温」に設定されています。これを守らずに中温以上でかけてしまうと、生地表面の繊維が熱で潰れてしまい、そこだけが不自然に光る「テカリ」の原因となったり、最悪の場合は繊維が溶けてしまったりする危険性があります。
アイロンがけを成功させるコツ
- 「あて布」を必ず使う
アイロンの熱が直接生地に当たるのを防ぎ、テカリや生地の傷みを防止するために、あて布は必須アイテムです。木綿のハンカチや手ぬぐいなど、色の薄いものを用意し、必ず衣類との間に挟んでください。 - 「半乾き」か「霧吹き」で湿らせる
完全に乾ききった状態よりも、少し湿り気が残っている「半乾き」の状態でかけるのが、最もシワが伸びやすく効果的です。もし完全に乾いてしまっている場合は、霧吹きで全体を軽く湿らせてからアイロンをかけましょう。 - スチームを効果的に活用する
アイロンを生地から1cmほど浮かせて、たっぷりとスチームを当てるだけでも、多くの細かなシワは取れます。その後、あて布の上から、滑らせるというよりは「軽く押さえては離す」を繰り返すように、優しくプレスしていくのがポイントです。 - 裏側からかける
念には念を入れて、衣類を裏返して内側からアイロンをかけるのも、テカリを防止するのに非常に有効なテクニックです。
もしアイロンがけが苦手な方や、もっと手軽に済ませたい方は、ハンガーにかけたまま使える「衣類スチーマー」の導入を検討するのも良いでしょう。日常的なシワ取りであれば、スチーマーで十分に対応可能です。
もし縮んだら?レーヨン洗濯の対処法

ここまで細心の注意を払っていても、ほんの少しの油断で「やってしまった…」と衣類を縮ませてしまうことはあるかもしれません。しかし、絶望してすぐに捨ててしまうのはまだ早いです。意外なものが、縮んだ繊維をある程度復元してくれる救世主になる可能性があります。それは、ヘアトリートメントやシリコン系のコンディショナーです。
これらに含まれる「アモジメチコン」などのシリコン成分が、髪のキューティクルをコーティングして指通りを滑らかにするのと同じ原理で、水で絡まってしまったレーヨンの繊維を滑らかにし、ほぐれやすくしてくれるのです。
家庭でできる!縮んだレーヨン復元の手順
- トリートメント液を作る
洗面器に30℃程度のぬるま湯を張り、お手持ちのヘアトリートメント(またはコンディショナー)を3~4プッシュ(約15g)ほど入れて、手でよくかき混ぜて溶かします。 - 優しく浸透させる
縮んでしまった衣類を裏返してトリートメント液に浸し、優しく揉みこむようにして、成分を繊維の奥までじっくりと浸透させます。 - 30分~1時間つけ置き
そのままの状態で、30分から1時間ほどつけ置きします。これにより、シリコン成分が繊維を十分にコーティングします。 - すすがずに脱水
つけ置きが終わったら、すすがずに、そのまま優しく絞って水分を切ります。洗濯機で30秒だけ脱水するか、タオルドライがおすすめです。 - 伸ばしながら形を整えて干す
タテ・ヨコ・ナナメの各方向に、優しく、しかし均等な力で引っ張りながら元の大きさに近づくように形を整えます。その後、風通しの良い日陰で平干しします。
この方法は、あくまで応急処置であり、完全に元通りになることを保証するものではありません。また、衣類の染色によってはシミになる可能性もゼロではないため、必ず目立たない部分で試してから、自己責任で行ってください。しかし、試してみる価値は十分にあります。
エマール以外の洗剤は代用できる?
この記事ではエマールを基準に解説を進めてきましたが、「ちょうど切らしている」「いつも使っている別の洗剤がある」という場合もあるでしょう。結論から言えば、「液性:中性」で「蛍光増白剤無配合」のおしゃれ着洗い用洗剤であれば、エマール以外の製品でも問題なく代用可能です。
日本の市場には、ライオンの「アクロン」や、P&Gの「ボールド おしゃれ着洗剤」など、様々なメーカーから高品質なおしゃれ着洗い用の洗剤が販売されています。これらの製品も、レーヨンのようなデリケートな衣類の洗濯に対応できるよう、繊維保護成分などが配合されています。
洗剤を選ぶ際の最終チェックポイント
最も重要なのは、製品のパッケージ裏面にある「品名」と「液性」の表示を確認することです。「品名」が「洗濯用合成洗剤」、「液性」が「中性」と書かれているものを選びましょう。また、生成りやベージュ、パステルカラーといった淡い色の衣類の場合、「蛍光増白剤」が配合されている洗剤を使うと、染料に作用して不自然に白っぽく見えてしまうことがあります。そのため、「蛍光増白剤無配合」や「無蛍光」と記載されているものを選ぶと、より安心して使用できます。
ただ、どの洗剤を使ったとしても、これまで繰り返し解説してきた「30℃以下の水」「優しい押し洗い」「30秒以内の短時間脱水」「日陰干し」といった、レーヨン洗濯の基本原則は一切変わりません。究極的には、洗剤の種類そのものよりも、洗い方の丁寧さがレーヨンの寿命を決めると言っても過言ではないのです。
レーヨン100%をエマールで洗濯する際の総まとめ
この記事では、デリケートで取り扱いが難しいとされるレーヨン100%の衣類を、ご家庭でエマールを使って洗濯する方法について、その原理から具体的な手順、アフターケア、そしてトラブルシューティングまで、包括的に解説してきました。最後に、あなたの大切な衣類を失敗から守るための重要なポイントをリスト形式で振り返ってみましょう。
- レーヨンは水を吸って膨張し乾く際に縮む性質を持つ再生繊維であると理解する
- 洗濯前には必ず「洗濯表示」を熟読し、家庭で洗えるか、洗い方の指示は何かを確認する
- 洗剤は洗浄力が穏やかな「中性」のおしゃれ着洗剤エマール(または同等品)を選ぶ
- 洗剤の量は多すぎても少なすぎてもNG、製品裏面の規定量を必ず守る
- 基本は「手洗い」、30℃以下の水で優しく「押し洗い」し、絶対にこすらない
- 洗濯機の場合は「手洗いコース」などを選び、衣類に合ったサイズの洗濯ネットを必ず使用する
- シワを防止するため、脱水は「30秒~1分以内」のごく短時間で済ませる
- 脱水が終わったら1秒でも早く取り出し、放置しないことが鉄則
- 干す際は形を整えてから、必ず直射日光の当たらない「陰干し」を徹底する
- 高温で縮むため、乾燥機の使用は絶対に避ける
- アイロンは「低温」設定で、テカリ防止のために「あて布」を必ず使用する
- もし縮んでしまった場合は、ヘアトリートメントを使った応急処置を試す価値がある
- エマール以外の洗剤も「中性」「蛍光増白剤無配合」のおしゃれ着洗剤なら代用可能
- 最も大切なのは高価な洗剤を使うことよりも、全工程を丁寧に行う「洗い方」そのものである
- 正しい知識と手順を身につければ、自宅でもレーヨンの美しい風合いを保ったまま洗濯できる
これらのポイントを一つひとつ丁寧に実践すれば、もうレーヨン100%の洗濯を恐れる必要はありません。これまでクリーニングに出していた時間とお金を節約し、ご自身の力で、お気に入りの一着を長く、そして美しく愛用していくことができるようになるはずです。