
「洗濯機の下って、ホコリや髪の毛が溜まりやすくて掃除が本当に大変…」「排水ホースが潰れていないか、なんだか水の流れが悪い気がする…」そんな、見て見ぬふりをしがちな洗濯機周りの悩みを抱えていませんか。洗濯機の下は、まさに家の衛生における「見えざる聖域」。湿気と汚れが結びつき、カビや悪臭の温床となっていることも少なくありません。
そんな悩みをスマートに解決してくれるのが「かさ上げ台」ですが、専用品は意外と値段が張るもの。「もっと手軽に、安く済ませたい」と考えるのは当然のことです。そこで、洗濯機のかさ上げ台を100均やニトリのグッズ、あるいはレンガやホームセンターで手に入るもので代用できないかと、賢い解決策を探している方も多いのではないでしょうか。ご自身でDIYする方法や、防振ゴムの効果に期待している方もいるかもしれません。
しかし、インターネットやSNSの情報だけを頼りに安易な代用を試みるのは、大きなリスクを伴います。「やめたほうがいい」という経験者の声には、無視できない深刻な理由が隠されているのです。特にご自宅の洗濯機置き場に防水パンがない場合、どうすれば安全対策ができるのかは死活問題です。
そもそも、洗濯機のかさ上げがなんのために必要なのか、その本質を理解することが、後悔しない選択への第一歩となります。この記事では、あなたのその疑問や不安を一つひとつ丁寧に解消し、安全かつ最適な解決策へ導くための、信頼できる情報をお届けします。
- なぜ洗濯機をかさ上げする必要があるのか、その3つの本質的な理由
- 安易な代用が招く具体的なリスクと「やめたほうがいい」と言われる根拠
- 100均グッズからDIYまで、具体的な代用アイデアとその正しい評価
- 素人が見落としがちな、安全な設置に不可欠な重要チェックポイント
洗濯機かさ上げ台の代用アイデアを試す前に知るべき基本

- そもそも洗濯機のかさ上げはなんのために必要?
- 洗濯機かさ上げ台の代用がやめたほうがいいと言われる理由
- これだけは守って!代用品選びで失敗しないためのポイント
- 洗濯機のかさ上げをしない場合のデメリットとは
- 賃貸物件でかさ上げ台を代用する際の注意点
- 防水パンのかさ上げを代用で済ませる方法とリスク
そもそも洗濯機のかさ上げはなんのために必要?
洗濯機のかさ上げは、単に「洗濯機を高くして見栄えを良くするもの」ではありません。日々の暮らしの快適性と安全性を維持するために、非常に合理的で重要な3つの目的が存在します。これらを深く理解することで、代用品を選ぶ際の判断基準も自ずと明確になります。
1. 掃除のしやすさを格段に向上させる
最大のメリットは、洗濯機の下に物理的な空間を作り出すことで、掃除が圧倒的に楽になる点です。洗濯機の下は、髪の毛、糸くず、ペットの毛、洗剤の溶け残りなどが湿気と絡み合い、頑固な汚れとなって蓄積します。これはカビや雑菌の絶好の繁殖地であり、アレルギーの原因となるハウスダストの温床にもなりかねません。
洗濯機を床に直接置いていると、この空間を掃除するには、重い洗濯機を毎回動かすという非現実的な労力が必要になります。かさ上げによってわずか10cm程度の空間が生まれるだけで、フロアワイパーや掃除機の細口ノズル、柄の長いブラシがスムーズに入るようになります。
これにより、これまで諦めていた洗濯機下の掃除が日常的なルーティンとなり、ランドリースペース全体の衛生レベルを劇的に向上させることが可能です。嫌なカビ臭の発生源を断ち、常に清潔な環境を維持できるのです。
2. 排水ホースの通り道を確保し、水漏れリスクを根絶する
洗濯機を直置きした場合に起こりがちなトラブルが、本体の重みによる排水ホースの圧迫です。排水ホースが「へ」の字に折れ曲がったり、潰れたりすると、水の流れが著しく悪化します。これは、庭の散水ホースを足で踏んでいるのと同じ状態です。排水が滞ると、洗濯槽から水が抜けきるのに時間がかかったり、「排水エラー」で洗濯機が頻繁に停止したりする原因となります。
さらに深刻なのは、スムーズに流れなかった排水がホースの接続部に逆流し、そこから水がじわじわと漏れ出すリスクです。気づかないうちに床が水浸しになり、集合住宅の場合は階下への漏水事故という最悪の事態に発展する可能性もゼロではありません。
かさ上げによって本体と床の間に適切なクリアランスを設けることで、排水ホースに無理な負荷をかけることなく、理想的な勾配を保って排水口まで導くことができます。これは、排水関連のトラブルを未然に防ぎ、安心して洗濯機を使い続けるための極めて重要な措置なのです。
3. 振動や騒音を吸収・軽減する
特に集合住宅において、洗濯機の脱水時の振動や「ゴゴゴ…」という重低音は、多くの家庭の悩みの種です。この振動は床を伝って隣室や階下の部屋に響き、騒音トラブルの原因となることがあります。
専用のかさ上げ台の多くは、衝撃吸収性に優れたゴムやゲル素材を脚部に使用しており、洗濯機本体から発生する振動を効果的に吸収・減衰(ダンピング)させる設計になっています。これにより、床構造体へ伝わる振動を大幅にカットし、結果として階下へ伝わる騒音を和らげる効果が期待できます。
私の場合も、以前住んでいたアパートで階下への騒音が気になり、防振効果の高いゴム製のかさ上げ台を設置したところ、明らかに運転音が静かになり、気兼ねなく洗濯できるようになった経験があります。代用品を選ぶ際にも、この「防振」という視点を持つことが、ご近所への配慮と自身の快適な生活に繋がります。
洗濯機かさ上げ台の代用がやめたほうがいいと言われる理由

手軽で経済的に思える代用品ですが、「やめたほうがいい」という警告には、無視できない深刻な理由があります。コストを惜しんだ結果、それ以上の代償を払うことになりかねません。ここでは、代用がはらむ具体的なリスクを4つの観点から徹底的に解説します。
1. 安定性が確保できず、転倒・故障という最悪の事態を招く
最も懸念すべき危険は、運転中の振動による洗濯機の転倒です。特に脱水工程では、洗濯槽が高速回転し、内部の衣類の偏りによっては本体が大きく「歩く」ように揺さぶられます。このダイナミックな力は、単に洗濯機が乗っているだけの静的な重さとは比較になりません。代用品の高さが不揃いであったり、強度が不足していたり、表面が滑りやすかったりすると、この激しい振動に耐えきれずにバランスを崩し、最悪の場合は転倒に至ります。
数十キログラムの鉄の塊である洗濯機が倒れれば、本体の致命的な故障は免れませんし、床や壁に大きな損傷を与え、もし近くに人がいれば大怪我につながる極めて危険な事故となります。
2. 想定外の荷重に耐えられず、破損や大規模な水漏れを引き起こす
代用品の「耐荷重」を考える際、洗濯機本体の乾燥重量だけを見ていると、重大な判断ミスを犯します。例えば、洗濯容量10kgの縦型洗濯機(本体重量約40kg)の場合、最大量の洗濯物(約10kg)と規定量の水(約100L=100kg)が加わると、総重量は150kgにも達します。レンガやブロックは一見頑丈そうですが、製造時の品質のばらつきや、一点に荷重が集中することによる割れのリスクを内包しています。
100均のプラスチック製品などは論外です。万が一、運転中に代用品がこの荷重に耐えきれず破損・崩壊すれば、洗濯機は傾き、接続されている給水ホースや排水ホースが外れてしまいます。その結果、蛇口から供給される水が床に流れ続け、大規模な水漏れ事故に直結するのです。
3. 振動や騒音が吸収されず、逆に増幅してしまう
静粛性を期待して設置した代用品が、騒音問題を悪化させる皮肉な結果を招くことがあります。例えば、硬質なコンクリートブロックやレンガを直接フローリングに置いた場合を想像してください。洗濯機の振動は、これらの硬い素材によって全く吸収されることなく、むしろ共振して増幅され、床全体にダイレクトに伝わります。
これは、ギターの弦の振動がボディで共鳴して大きな音になるのと同じ原理です。結果として、以前よりも「ゴォー」という不快な低周波音やガタガタという異音が大きくなり、ご近所迷惑の騒音源となってしまうケースが少なくありません。
4. メーカーの製品保証が受けられなくなる
ほとんどの洗濯機メーカーは、取扱説明書や公式サイトで、設置に関する厳格なガイドラインを設けています。その中では、必ず水平で安定した場所に設置すること、そして多くの場合、純正または推奨の設置部品を使用することが求められています。代用品の使用が原因で洗濯機が傾いて故障したり、内部の部品が破損したりした場合、たとえメーカーの保証期間内であっても「不適切な設置環境による故障」と判断され、保証の対象外となる可能性が極めて高いです。
これだけは守って!代用品選びで失敗しないためのポイント
前述した数々のリスクを十分に理解し、それでもなお代用品を試さざるを得ない場合には、安全を確保するための最低限のルールが存在します。これから挙げる4つのポイントは、いわば「命綱」です。一つでもクリアできないのであれば、その代用計画は直ちに中止すべきです。
代用品選びで絶対に妥協してはならない4つのチェックポイント
- 【耐荷重】総重量の1.5倍以上の余裕を確保できていますか?
「洗濯機本体の重量+最大洗濯容量+使用水量」で算出される総重量を確認しましょう。そして、その総重量の最低でも1.5倍以上の耐荷重を持つ素材を選ぶことが絶対条件です。特にドラム式洗濯機は本体だけで80kgを超え、総重量は200kg近くに達することもあるため、極めて慎重な選定が求められます。 - 【水平】水準器を使い、ミリ単位で水平が取れていますか?
人間の感覚による「だいたい水平」は全くあてになりません。必ず、スマートフォンの水準器アプリや、ホームセンターで数百円で手に入る水準器(レベル)を使って、洗濯機の天面の前後左右、そして対角線上のすべてが完全に水平になっていることを確認してください。わずか1ミリの傾きが、脱水時に数センチの揺れとして増幅されます。 - 【素材】水や湿気に強く、変形しない素材ですか?
洗濯機周りは常に湿気が多く、結露や水はねも起こり得ます。水分を吸って膨張したり、腐食したり、カビが発生したりする素材(例:無垢の木材、MDFボード)は不向きです。また、床材を傷つける恐れのある硬くザラザラした素材(例:コンクリートブロック)を使用する場合は、床との間に必ず厚手の保護シートを挟む必要があります。 - 【滑り止め】二重の滑り止め対策は万全ですか?
振動による「ズレ」は転倒の第一歩です。対策は二段階で考えます。まず「床と代用品の間」にゴム製のシートなどを敷いて、代用品自体が動かないように固定します。次に「代用品と洗濯機の脚の間」にも専用の防振ゴムや滑り止めマットを挟み、洗濯機本体が滑り落ちるのを防ぎます。この二重の対策が不可欠です。
洗濯機のかさ上げをしない場合のデメリットとは
ここまでかさ上げの重要性について解説してきましたが、視点を変えて、かさ上げをしない「直置き」の状態を続けることのデメリットを改めて深く掘り下げてみましょう。それは、単に「掃除がしにくい」というレベルの問題ではありません。

まず、健康へのリスクです。洗濯機の下の薄暗く湿った空間は、黒カビ(Stachybotrys chartarumなど)をはじめとする有害なカビの絶好の繁殖地です。これらのカビが放出する胞子を日常的に吸い込むことで、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎などの症状を引き起こしたり、悪化させたりする可能性があります。また、ホコリや髪の毛はダニやゴキブリなどの害虫の餌や隠れ家となり、衛生環境を著しく悪化させます。
次に、洗濯機本体へのダメージです。排水ホースが圧迫されて排水不良が慢性化すると、洗濯槽内に汚れた水が残りやすくなります。これにより、洗濯機内部に水垢や洗剤カスが固着し、それがカビと結びついて洗濯槽の裏側がヘドロ状の汚れで覆われてしまうのです。この汚れが洗濯のたびに少しずつ剥がれ落ち、洗濯物に黒いカス(通称:ピロピロわかめ)が付着したり、生乾きの嫌な臭いの原因になったりします。
そして、見落とされがちなのが、防水パンに設置された排水トラップのメンテナンス性です。防水パンの排水口には、下水からの臭いや害虫の侵入を防ぐための「排水トラップ」という部品が取り付けられています。ここには髪の毛や糸くずが溜まりやすく、定期的な清掃が不可欠です。
しかし、洗濯機を直置きしていると本体が排水口の真上に覆いかぶさり、この排水トラップの掃除が事実上不可能になります。詰まりを放置すれば、悪臭の発生はもちろん、排水が逆流して防水パンから水が溢れ出すという事態を招きかねません。
賃貸物件でかさ上げ台を代用する際の注意点
賃貸物件で代用品を使用する場合は、持ち家とは比較にならないほど慎重さが求められます。万が一のトラブルが、金銭的な負担や隣人との関係悪化に直結するためです。特に重要な「原状回復義務」と「騒音問題」について、深く理解しておく必要があります。
床に刻まれる「退去時の負債」
賃貸契約には「原状回復義務」という条項が必ず含まれています。これは、退去時に部屋を借りた時の状態に戻す義務のことです。レンガやコンクリートブロックのような硬くて重いものを、保護措置なしに直接床に置けば、クッションフロアやフローリングには間違いなく傷や永続的なへこみが残ります。
これは「通常の使用による損耗」とは見なされず、修繕費用を敷金から差し引かれたり、追加で請求されたりする原因となります。これを防ぐためには、代用品の下に傷防止用のフェルトや厚手のゴムマットを敷くといった予防策が絶対に必要です。念のため、設置前にスマートフォンのカメラで床の状態を撮影しておくことも、後々のトラブル回避に有効です。
壁や床を伝わる「見えない騒音」
集合住宅における騒音には、話し声のように空気を伝わる「空気伝播音」と、振動が壁や床を伝わる「固体伝播音」の2種類があります。洗濯機の振動音は後者の典型であり、自分が室内で聞く音よりも、構造体を伝わって階下や隣の部屋に響く音の方が大きいことがよくあります。
不適切な代用品(特に硬い素材)は、この固体伝播音を増幅させるスピーカーのような役割を果たしてしまいます。特に木造や軽量鉄骨造のアパートでは音が響きやすいため、最大限の配慮が求められます。夜間に洗濯機を回すライフスタイルの場合は、代用品の使用は避け、防振性能を謳った高品質な専用品を選ぶことが、隣人との良好な関係を維持するための「マナー」と言えるでしょう。
筆者の経験上、賃貸物件で何か特別な設置物をする際は、まず管理会社や大家さんに相談するのが一番の得策です。ルールが定められている場合もありますし、「こういう対策をしますが、問題ないでしょうか?」と一言断っておくだけで、万が一の際の心証が全く異なります。
防水パンのかさ上げを代用で済ませる方法とリスク
洗濯機置き場にすでに設置されている防水パン。この防水パンの縁が低かったり、排水口が洗濯機の真下に来てしまったりして、「防水パンごと高くしたい」と考えるケースがあります。その際に、防水パンの四隅にブロックなどを置いてその上に洗濯機を設置するという方法が考えられますが、この行為は通常のかさ上げとは比較にならないほど高いリスクを伴います。
その最大の理由は、防水パンの素材と構造にあります。一般的な防水パンはABS樹脂などのプラスチックでできており、洗濯機の重さ(荷重)を「面」で受け止め、床全体に分散させることを前提に設計されています。しかし、ブロックなどで四隅だけを「点」で支える形にすると、想定外の応力が防水パンの四隅に集中します。
洗濯機の重さに運転中の振動が加わることで、この応力はさらに増大し、やがて防水パンにひびが入ったり、コーナー部分が割れたりする原因となるのです。
防水パンが破損すれば、それはもはや「防水」の役割を果たしません。万が一、ホースが外れるなどの水漏れ事故が発生した際に、最後の砦となるべき防水パンから水が漏れだし、床材を腐食させ、階下へ甚大な被害を及ぼす可能性があります。住宅設備メーカーも、このような不適切な使用は想定しておらず、製品の保証対象外となります。
したがって、防水パンが設置されている環境で高さを確保したい場合は、代用品に頼るのではなく、「防水パンの縁をまたぐように設置できる脚の長いタイプ」や、「排水口のメンテナンスがしやすいように中央部が開口しているタイプ」の専用かさ上げ台を選択することが、唯一の安全で確実な方法です。
【目的別】本当に使える洗濯機かさ上げ台の代用アイデアと注意点

- 【100均・ニトリ】手軽に試せる代用グッズと限界
- 【ホームセンター】で探す洗濯機用の防振ゴムの効果と選び方
- レンガやブロックを代用する際の正しい設置方法
- 木材を使ったDIYでのかさ上げ台自作は可能か
- 【要注意】ドラム式洗濯機のかさ上げ台の代用は非推奨
- まとめ:後悔しない洗濯機かさ上げ台の代用のための最終チェック
【100均・ニトリ】手軽に試せる代用グッズと限界
最も手軽に、そして圧倒的な低コストで試せるのが、100円ショップ(ダイソー、セリアなど)やニトリで手に入る様々なグッズを流用する方法です。しかし、これらのグッズは当然ながら洗濯機の荷重や振動を想定して作られていないため、その限界を正しく理解し、あくまで自己責任の上で限定的に利用する必要があります。
代用候補となりうるグッズとシビアな評価
以下に、代用として考えられるグッズの例と、その現実的な評価をまとめます。
グッズ名 | メリット | デメリット・危険性 | 現実的な使用用途 |
---|---|---|---|
耐震マット・ジェルマット | ・安価 ・振動吸収性が高い ・滑り止め効果がある | ・高さはほとんど稼げない(数mm) ・経年劣化で硬化・液状化する ・耐荷重が不明確 | 他の代用品(ブロック等)と組み合わせ、滑り止め・振動吸収の補助として使う。単体でのかさ上げは不可。 |
園芸用レンガ・発泡スチロールブロック | ・非常に安価 ・軽量で扱いやすい | ・強度が全く足りない ・水や湿気で劣化・崩壊する ・耐荷重が極めて低い | 洗濯機への使用は絶対に不可。見た目に騙されてはいけない、最も危険な選択肢の一つ。 |
プラスチック製の小型スノコ | ・安価 ・通気性は確保できる | ・強度が圧倒的に不足 ・点で荷重がかかると簡単に割れる ・滑りやすい | これも洗濯機への使用は不可。脱衣所の足場など、本来の用途で使うべき製品。 |
硬質ゴムブロック・ゴム板 | ・比較的安価 ・防振性・滑り止め効果 ・加工がしやすい | ・十分な厚みやサイズのものが見つかりにくい ・耐荷重が明記されていないことが多い | 軽量な縦型洗濯機限定で、高さを数cm稼ぎつつ振動を抑えたい場合の選択肢。品質の見極めが重要。 |
結論として、100均やニトリのグッズで安全にかさ上げを実現するのは、極めて困難と言わざるを得ません。特に、プラスチック製品や発泡スチロール製品は、洗濯機の重さで徐々に変形し、数週間から数ヶ月で破損する可能性があります。もし試すのであれば、「総重量が60kg以下の軽量な単身用の縦型洗濯機」で、「高さは求めず、振動軽減や滑り止めを補助する目的」に限定し、常に状態をチェックするくらいの覚悟が必要です。
【ホームセンター】で探す洗濯機用の防振ゴムの効果と選び方
より現実的で効果的な代用品を探すなら、向かうべきはホームセンターです。資材コーナーやリフォーム用品コーナーには、より専門的で信頼性の高いアイテムが見つかります。その中でも特に推奨できるのが「防振ゴム」です。
防振ゴムがもたらす確かな効果
防振ゴムは、その名の通り振動を吸収することに特化した素材です。洗濯機から発生する不快な振動エネルギーを、ゴムの分子が運動することで熱エネルギーに変換し、外部へ逃がす役割を果たします。これにより、床へ直接伝わる振動を大幅にカットし、脱水時のガタガタという揺れや、階下へ響く「ブーン」という重低音を効果的に軽減します。
掃除のための高さ確保という目的も果たしつつ、騒音対策を高いレベルで実現したい場合に最適な選択肢と言えるでしょう。
失敗しない防振ゴムの選び方
ホームセンターには多種多様なゴム製品が並んでいますが、以下の3つのポイントを基準に選ぶことで、失敗のリスクを減らすことができます。
- 形状と高さで選ぶ
防振ゴムには、洗濯機の脚の下に敷く「ブロック型」と、床全体に敷く「シート型」があります。かさ上げも目的とするなら、高さが5cm以上確保できるブロック型を選びましょう。掃除用のモップなどが入る目安は10cm程度なので、必要な高さを事前に測っておくとスムーズです。 - 素材と硬さで選ぶ
ゴムには天然ゴム、合成ゴム(EPDM、クロロプレンゴムなど)といった種類があります。洗濯機用としては、耐候性や耐久性に優れた合成ゴムが使われることが多いです。「洗濯機用」「防振用」と明記された製品を選ぶのが最も確実です。硬すぎるゴムは振動を吸収しきれず、柔らかすぎると重みで潰れてしまうため、適度な弾力があるものを選びましょう。 - サイズと耐荷重で選ぶ
洗濯機の脚のサイズを事前に測り、その脚が完全に、そして安定して乗る大きさのゴムブロックを選んでください。小さすぎると非常に不安定になり危険です。また、製品パッケージに記載されている耐荷重(kg)を必ず確認し、ご家庭の洗濯機の総重量を十分にカバーできるものを選びましょう。
価格帯は、4個セットで1,000円台後半から4,000円程度が相場です。専用のかさ上げ台と比較すれば安価でありながら、高い防振効果が期待できる、コストパフォーマンスに優れた選択肢です。
レンガやブロックを代用する際の正しい設置方法

昔から行われている方法として、レンガやコンクリートブロックを代用するアイデアがあります。圧倒的なコストの安さと、一見頑丈そうな見た目が魅力ですが、その設置は素人が思う以上に繊細で、多くの危険を伴います。もし実行する場合は、以下の手順を完璧に守ることが絶対条件です。
【警告】レンガ・ブロック設置は上級者向けです
これから紹介する手順は、安全を保証するものではありません。一つでも手順を誤ると、重大な事故につながる可能性があります。基本的には非推奨の方法であることを強く認識してください。
レンガ・ブロックの安全設置マニュアル
- 床の徹底的な保護: まず、設置場所の床に、厚さ5mm以上のゴムシートを敷きます。これは床の傷防止、滑り止め、そして最低限の振動吸収の3つの役割を担います。絶対に省略してはいけません。
- ブロックの選定と配置: 同じ種類・同じロットのコンクリートブロックを4つ用意します。高さにばらつきがないか、割れや欠けがないかを厳しくチェックします。そして、保護シートの上に、洗濯機の脚の位置に合わせて配置します。
- 一次水平調整: ブロックを置いた状態で、4つのブロックの天面が完全に水平になるよう調整します。水準器をブロックの対角線上に乗せ、低い部分があれば薄いゴム板を挟むなどして、ミリ単位で高さを合わせます。
- 緩衝材の設置: 調整したブロックの上に、さらに厚さ1cm程度の防振ゴムを乗せます。これは、硬いブロックと洗濯機の脚が直接触れるのを防ぎ、滑りと振動を抑制するための重要な緩衝材です。
- 洗濯機の設置と二次水平調整: 細心の注意を払って洗濯機を台に乗せます。その後、洗濯機の天面で再度、水準器を使って前後左右・対角の水平を確認します。ここでズレていれば、洗濯機を降ろして②の調整からやり直します。
- 試運転と最終確認: 全ての設置が完了したら、まずは少量の洗濯物で「洗い→すすぎ→脱水」の試運転を行います。特に脱水時に異常な振動や移動がないか、注意深く観察します。少しでも異常があれば、直ちに運転を停止し、設置を見直してください。
ご覧の通り、手順は非常に煩雑で、高い精度が求められます。この手間とリスクを考えれば、初めから専用品を購入する方が、はるかに安全かつ効率的であることは言うまでもありません。
木材を使ったDIYでのかさ上げ台自作は可能か
「自分好みのサイズやデザインで作りたい」と、DIYによるかさ上げ台の自作を検討する方もいるでしょう。ホームセンターで木材を購入すれば、確かにオーダーメイドの台を作ることは物理的には可能です。しかし、それは高度な木工技術と構造力学の知識を要求される、極めて難易度の高いプロジェクトです。
DIYの魅力と、それを上回る困難
確かに、洗濯パンの特殊な形状を避けたり、収納スペースを組み込んだりといった、市販品にはない自由な設計が可能な点はDIYの魅力です。しかし、その実現には以下の大きな壁が立ちはだかります。
- 素人には困難な強度計算: 200kg近い荷重と、毎分1000回転以上にもなる脱水時の激しい振動。この両方に長期間耐えうる構造を、勘や経験だけで設計するのは無謀です。特に、脚と天板を接合する「ほぞ組み」などの専門的な技術を用いなければ、ネジや釘だけでは振動で緩み、いずれ崩壊する危険性が高いです。
- 必須となる徹底した防水・防腐処理: 木材は湿気の敵です。お風呂場に近い洗濯機周りでは、防水性能のない木材はすぐに湿気を吸って膨張し、反りや割れ、そしてカビの発生を引き起こします。耐水性の高いウレタン塗料などを、木材の裏側や接合部も含めて何度も塗り重ねるという、非常に手間のかかる処理が不可欠となります。
- 結果的に高くつくコストと時間: 頑丈な構造を作るためには、安価なSPF材ではなく、硬く密度の高い木材(ハードウッドなど)を選ぶ必要があります。加えて、太いネジや補強金具、高品質な防水塗料などを揃えていくと、材料費だけで市販の高品質なかさ上げ台が買えてしまう金額になることも珍しくありません。膨大な製作時間を考慮すれば、そのコストパフォーマンスは決して良いとは言えません。
結論として、洗濯機のかさ上げ台のDIYは、プロレベルの木工技術と経験を持つ人以外は、安全性の観点から絶対に手を出してはいけない領域です。思い出の家具作りとはわけが違う、家族の安全に関わる設備であることを忘れないでください。
【要注意】ドラム式洗濯機のかさ上げ台の代用は非推奨

これまで様々な代用アイデアとそのリスクについて解説してきましたが、もしあなたがお使いの洗濯機が「ドラム式」であるならば、結論は一つです。いかなる代用品の使用も絶対にやめてください。これは単なる推奨ではなく、安全を確保するための絶対的なルールです。
その理由は、ドラム式洗濯機が持つ、縦型とは全く異なる構造的特徴にあります。
ドラム式洗濯機に代用が禁忌である2つの決定的理由
1. 異次元の本体重量と総重量
多機能な乾燥ユニットや、高速回転に耐える頑丈な筐体を持つドラム式洗濯機は、本体の乾燥重量だけで80kg~100kgに達する機種が主流です。これは成人男性よりも重く、縦型洗濯機(30kg~50kg程度)の2倍以上に相当します。ここに水と洗濯物が加わった際の総重量は、もはや小型の家具の域を超えています。この凄まじい荷重を、品質保証のない代用品で支え続けるのは自殺行為に等しいです。
2. 複雑で強大な横方向への振動
縦型洗濯機が垂直な軸で回転するのに対し、ドラム式は水平な軸(地面と平行)で洗濯槽が回転します。これにより、重力の影響を受けながら衣類を持ち上げては落とす「たたき洗い」を可能にしていますが、脱水時には非常に複雑で強力な「横揺れ」の振動が発生します。この横揺れは、代用品を滑らせ、ズレさせ、転倒させる最大の要因となります。
これらのリスクを熟知している国内の主要メーカーは、こぞって純正オプションとして専用の設置台を用意しており、その使用を強く推奨しています。例えば、東芝の公式サイトでは、ドラム式・縦型それぞれに対応した専用スタンドが紹介されており、安全な設置にはこれらの部品が不可欠であることが示唆されています。
高価なドラム式洗濯機の性能を100%引き出し、長く安全に使い続けるために、設置台への投資は「必要経費」とお考え下さい。安全は何物にも代えがたい価値があります。
まとめ:後悔しない洗濯機かさ上げ台の代用のための最終チェック
この記事では、洗濯機のかさ上げ台を代用する方法について、その背景にあるニーズから、具体的なアイデア、そしてそこに潜む深刻なリスクまで、多角的に詳しく解説してきました。様々な情報をご覧いただいた上で、最終的に後悔しない選択をするための重要なポイントを、チェックリストとして以下にまとめます。
- 洗濯機のかさ上げの真の目的は「衛生環境の向上」「排水トラブルの予防」「静粛性の確保」である
- 安価な代用品は魅力的だが、転倒、水漏れ、騒音増幅といった重大なリスクを常にはらんでいる
- 代用が原因で洗濯機が故障した場合、メーカーの製品保証は適用されないと心得るべき
- どうしても代用する際は「耐荷重」「水平」「素材」「滑り止め」の4原則を絶対に妥協してはならない
- 賃貸物件では、床への傷による原状回復費用と、階下への騒音トラブルという二重のリスクを常に意識する
- 100均グッズによるかさ上げは、軽量な縦型洗濯機に対する「気休め」程度の効果と割り切る
- 騒音対策を重視するなら、ホームセンターで入手できる「洗濯機用防振ゴム」が最も現実的な選択肢である
- レンガやブロックによる代用は、極めて精密な設置技術が要求されるため、基本的には推奨できない
- 木材によるDIYは、構造設計や防水処理の難易度が非常に高く、コストもかさむため安易に手を出すべきではない
- 総重量が重く、振動も特異なドラム式洗濯機に関しては、いかなる代用品の使用も厳禁であり、必ず純正品かメーカー推奨品を選ぶ
- 市販の専用かさ上げ台は、数千円から数万円と価格帯は広いが、その価格には「長期間の安全性」という価値が含まれている
- 最終的な判断に迷った時は、常に「最も安全な選択肢は何か?」と自問することが、将来のトラブルを避ける最善の方法である
- 設置作業を行う際は、感電や水漏れを防ぐため、必ず洗濯機の電源プラグを抜き、給水ホースの水栓を固く閉めてから始める
- 少しでも作業に不安を感じたり、洗濯機が重くて一人で動かせなかったりする場合は、決して無理をせず、家電量販店や専門の設置業者に依頼する勇気を持つ
- 結論として、洗濯機かさ上げ台の代用は、そのリスクと手間を十分に理解し、限定的な状況でのみ検討すべき最終手段である